
「逆ピラミッド構造」の人口比で起きる問題
少子化問題や高齢化社会の到来が大きな社会問題となってきています。少子高齢化が進むことで、日本の人口構成グラフが「逆ピラミッド構造」の社会となり、今後近い将来にさまざまなマイナス現象が起きることが懸念されています。
若い世代の人口比が減少することによって、必然的に経済の沈滞化現象に歯止めが利かなくなり、国家の規模が縮小せざるをえなくなってくるという深刻な情況が生まれることとなります。
日本の人口減少で起きる諸問題について国の経済的側面から考慮すると、少子高齢化社会で一番の問題となるのは、労働人口の減少です。特に日本経済の根底を支えている製造業において、人手不足は深刻で、仕事はあるのに働き手がなく作業ができないという問題が発生します。
ここでその対応策として近年特にクローズアップされてきたのが、外国人労働者の受け入れです。内閣府は、この労働問題の対応策として、年間20万人の移民を受け入れるという政策の検討に入ったと報道されています。
現在の日本では、外国人労働者に関しては厳しい規制を設けており、製造業などの単純労働を目的に外国人が日本に入国することは不可能です。内閣府試案による移民政策とは、毎年20万人の外国人に日本国籍を与え、日本人としての労働力を確保するという内容であり、これは今までの日本の政策を大転換することとなります。
移民受け入れと日本文化の行方
日本は、先進国の中でも極めて移民に対して閉鎖的であるとの批判を欧米諸国から受け続けていました。これは、日本人が昔から諸外国からの干渉をあまり受けることのない生活を長く保ってきたという歴史的経緯も少なからず影響しているでしょう。
また、多くの移民を受け入れたヨーロッパ諸国に、異民族との文化摩擦が発生していることを危惧する声も大きくなってきており、移民政策反対の運動も起き始めています。単に仕事目的で入国してきた移民には、長年にわたって醸成されたその国の文化に同化するのは難しいという反対意見です。
「労働力不足の解消は移民受け入れ政策しかないのでは?」
「移民受け入れによって、日本古来の文化にマイナスの影響があるのでは?」
という議論がこれから活発になってくることでしょう。
前者は「日本も、グローバル社会の実現のため、国際社会の一員として責務である移民政策を受容すべき」という考え方であり、後者は「日本文化の本質は、日本で生まれ日本で生活してきた日本人にしか継承することができない」とする保守的思想といえます。
思想の是非はともかく、日本人であるわれわれ全員に問われる課題であることは間違いないでしょう。
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